人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「TSU・SHI・MI」はなぜ電話番号を変えたのか。

リニューアルして3カ月が来ようとしている。
一番感じることは、以前の常連客の予約が減っていること。
もちろん色々な理由があろうが、そのなかの一つに、今回のリニューアルで、10年使っていた
店の電話番号を変えたこと、さらにはNTTに移転のインフォメーションガイダンスも拒否し、電話を使用する限り、全く以前のミラヴィルを閉店したのちに音信不通になったたことが考えられる。実際にそれでも何とか探して来られる客人たちも大勢いるが、口をそろえて
聞く言葉は、「なんで電話番号まで変えちゃったのよ」「携帯に登録してたから、いきなり通じなくなってびっくりしたわよ」「もったいないね~」と。先日、同業であり後輩のエディションコウジシモムラのシェフでさえ「セイジさん、なんで電話番号変えちゃったんですか?」「連絡が取りずらいっすよ」という。(ちゃんと携帯に掛けてきてるのに不思議)

なんでって、ちゃんと理由があるからよ。もったいなくない。 全~然。

その都度、一言で言えない、説明しきれない思いが頭をよぎるものの、説明してもしょうがないというか、どうせ聞いてもらえない人には
正直説明するのもあめんどくさくなるときがある。ね、そういう時あるでしょ。

読んだ人にしかわからんと思うけど、このブログで説明しようと思う。
それでも理解が得られるかは疑問だが・・。

答えはある意味単純で、まず一つは、俺の中ではミラヴィルは終わり、全く関係のない
新しいレストランをオープンさせたということ。だから、場所こそ変わらずとも、スタッフから、
店のカラーまで隅々変えた。なごりや残像を一切残さないのが俺の目的。下手すりゃ俺の名前も変えようかと思ったくらい。

だから電話番号なんて変えるのが当たりまえ。もちろん常連に迷惑はかけることになるが、
自分にはリニューアルして、過去の常連にとりあえず「またよろしく」と頭下げて来店してもらい
出来るだけ早々に売上的軌道に乗せたいという意識と発想が俺の中には全くなかったし、今もないこと。

2つ目は、電話が鳴るたびに客人にいちいち説明しなくてはならないわずらわしさ。
「料理は前と変わりました。」「店の色が黒に変わりました。」「値段が上がりました」「プリフィクスはやめてお任せ1本のメニューに変わりました」と当然説明することになる。それだけならいいがさらには「あら、ずいぶん値段高くなって・・。偉くなったわね~。」
「あら~。前のメニューのほうが選べてよかったわね~。」「あら~。フランス料理じゃないの~?何やってんの~」・・・。

昨今、レストランリニューアルがやたら増えたが、多くの店は可能な限り電話番号はそのままで、でもこういうある種言葉の暴力に耐えながら売り上げをつなげてるんだよね。きっと。

こうなれば、「すいません」意外にこの場を切り抜ける方法が見当たらないが、なんか違うでしょ。

自分をオーナーシェフというより一人の人間としてとらえたときに、一度しかない、それも一瞬で終わる人生を仕事も含め一つのパターンでまとめる必要はないんじゃないか?職歴に、出来れば2、3の違う自分のシーンとカラーを演じてみれば仕事ももっと楽しいんじゃないか?それも周りにとらわれることなく。ね。

俺の立場が言うのはおこがましいかもわからんが、誰も言えんやろうからここで伝えておくが、
”客のためにレストランやるやつはいない”。少なくとも我々オーナーシェフ誰もが、料理人を始めたときから、自分なりにロマンを追い続け、将来わが店を構え、自分の作る料理を自己表現の最大の方法とし、その結果として、客を満足させ、評価を頂くことを目指す。我々はTVでCM流したり大きな声で呼び込みしたり、ビラやチラシを配ったり、、大手チェーンがやるような集客手段は選べない。。だから最大の集客の武器はマスコミも含めて(マスコミについてはまた回をあらためるが・・。)客を喜ばせる仕事をする。そのことと、「客のため」には全然違う。

分かりやすく言うと俺は来てくれるお客さんは精一杯大切にするし、気に入ってくれて再訪していただければそれこそ精一杯お礼も言う。だから今回のリニューアルで、意に沿わないお客さんは意に沿ったレストランを探して、通えばいい。
シンプルな話よ。だから、電話番号が変わり、連絡が取れなくなっても、本気ならこの時代いくらでも探す方法はあるわけ。
おごりでも何でもなく、それでも探して予約を入れて、来てくれる客人には、対等に「ご足労掛けました。そのかわり最大の料理とおもてなしをしましょう。」となるのは自然だろ。
だから、全然「もったいなくない。」わけ 解るかな~。

「TSU・SHI・MI」は新生であり、ミラヴィルの延長ではない。
なんで?と聞かれるたびに凡人にはできないことをしている、わわけのわからん優越感とロマンがまた、いつか花を咲かせ実を結ぶ時が近い将来来ることは分かっているので、なんの問題もない・・・。

と、思うことが言えるようになったのも「新生」だから。ね。

長い文 読んでくれてありがとう。
by seijitsushimi | 2011-01-30 23:27
<< 近ごろ思うコトの箇条(過剰)書... 都志見セイジの回想録 その1 ... >>