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灯台下暗し?・・・。 三次ワイナリーの可能性。

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左から小公子(ここ三次唯一の澤登小公子種)、メルロ、新月シャルドネ(ナイトハーベスト) 

わが故郷にこのような美味しいワインを生み出すワイナリーがあることを

いや、なんとなくは知っていたが、今回現地に飛んであらためて認識した。

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ピノ・ノワールの自社畑 

日本ワインを色々と研究し始めて益々、日本の気候 風土 土地、土壌の農作物に与える

影響と可能性を感じている。

とりたてて、ワインに関し言えば、多くの愛好家たちは、日本の土地と気候はワインづくりには適していないという。

それは単純にフランスやイタリアなどの名醸に追い付け追い越せ思考から入ればそんなのは当たり前の話である。

そんなばかばかしい事は最初から考えずに、日本人にあった日本の食事とともに楽しめるワイン

が出来ればそれでいいのである。いやそれこそがまさに日本ワインがさらに世界に打って出ていける

可能性なのだ。
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三次ワイナリーは広島県のほぼ中央部。といっても県北に中国山地が横たわるために、

三次市は山間に挟まれた盆地状の土地の特性を持っている。

ここ三次は、全国でも有数の霧の街で、多い時に、ひと月に20日程霧が発生する。

ワイナリーのHPの最初に出てくる写真にもあるように、

三次ワイナリーHP 
http://www.miyoshi-wine.co.jp/

非常に濃い霧が天気の良い日中でも発生する。聴く所によると、

晴れた朝でも陽が射すのがお昼前の11時くらいになることも、ざらにあるらしい。

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非常にいい状態で灰カビが付着している。このカビの着いた粒だけを搾り、貴腐ワインは生まれる。 


実際に私が訪ねた日も、三次に近い中国道の途中でほとんど視界が数十メートルになるほどの霧が発生し、

もしや近くで山火事か?と錯覚してしまうほどの特異な気象現象が起こる土地だ。

この特殊な気象条件が葡萄の、ワインの出来にどのように影響を与えて行くか、またこのワイナリーが

今後、この特性を如何に生かしてさらなるワインメーカーとしての実力を発揮していくか非常に楽しみである。

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三次ワイナリーの栽培と醸造責任者 石田恒成氏と・・。 

今回はいつも広島の食材をコーディネートしてくれているクレイトンホテル料理長の加藤氏と1年ぶりの再会、

現地で待ち合わせし同行した。
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同じ中学の後輩でもある加藤氏と現地で待ち合わせた。 

ほぼ予定通りの時間に着くと早速施設のわきのスペースで搾汁機による仕込みが行われている光景が、

目に飛び込んでくる。

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ドンドン搾られます。マスカットべりーA 

近づいて聞いてみると、マスカットベリーAの仕込みらしい。非常に華やかで濃厚な葡萄果汁の香りと、

鮮やかな黒に近いパープルな色が印象的だ。
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このように1csづつ手作業です。 

電話で対応していただいた営業課長の佐々木さんと千崎社長、

そして栽培醸造を任されている石田恒成氏に御挨拶をし、社長室に通していただき、色々と話を伺った。

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左が取締役社長の千崎一郎氏、右が営業課長の佐々木英司氏 

その後のテイスティングでも明らかになるわけだが、5年くらい前から従来の甘いタイプの、

みやげ物仕様の安価なワインとは別に、「TOMOE」(トモエ)ブランドを立ち上げ、

全国区に通用する上質のワイン作りに取り組んでいる。

結果として非常に味わい深い、いい出来栄えだ。

今年は、ピノノワールやシラー、プティヴェルドなどの収穫もしており、これらがワインになる

数年後を今から楽しみにしている。

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小公子種畑。自生する山ブドウ種の改良品種で、数ある澤登小公子種の中でもここの品種はもっとも最新の改良種で、現在ここ三次ワイナリーでしか栽培されていません。もちろん少量生産です。 
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石田氏は三次生まれ。三次の町を愛しています。元々農協の職員さんだったそうです。  
石田さんのワイナリーブログはこちら 
http://ameblo.jp/miyoshi-wine2/
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収穫後の樹の手入れにも余念が有りません。 
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ブルーシートの向こうの畑が毎年新月の夜に収穫、仕込みをするナイトハーベストのシャルドネ畑です。 

石田氏と佐々木氏に車で数分の自社畑に案内していただき品種ごとの地形や、

土壌の違いの説明を受けながら廻って歩いた。

小高い丘の上にはフラッグシップである「新月」、ナイトハーベスト(深夜の収穫と仕込み)が、

行われるシャルドネの畑も存在する。

最高級ワイン、セミヨンから傑出される貴腐ワインの畑だけは遅摘みのために、

灰色カビをしっかりと付着させ、房にはたっぷりと鈴鳴っていた。

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もともと、今回ここへお邪魔した理由は、ただただ、わが故郷を愛しているからではなく、

興味をもったときに、すぐさまワイナリーに電話を入れ「東京で売っている店はあるか」を訪ねたときに、

「東京では扱いがない」との返事。

そうなるとさらに気になるのは必至で・・。その後千葉の友人であるイタリアンの「牛丸」さんへ、

食事へ行った際にオーナーの鈴木氏の計らいで三次ワイナリーのメルロとセミヨンを

用意していてくれたのだ。

それを口にした瞬間に、今回の訪問を決めたわけだ.

つまり、ワインが心を打たなければ、今回訪ねて行くこともなかった。と、思えば、まさに紙一重であり、

逆に、なんでも力を注げば人の心を打つともいえるだろう。

併設のレストランにはバスで訪れた観光客が大勢食事をしている。
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今回は特別に石田さん、佐々木さん達と食事をしながらお話が出来ました。よかった   
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テラスもあって観光での訪問も楽しそうです。 
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近隣で育てているブランド牛「広島牛」。ここのメルローとのマリアージュは・・・。言葉になりません 

我々もテーブルを用意していただき、地元生産である広島牛を頂きながら、しばしマリアージュを楽しんだ。

当然ながら地元の食材に地元のワインはばっちりはまる。


今回、千崎社長、佐々木氏、石田氏との話の中で、一致して出た言葉は、

やはり県内消費にとどまらず、関東を含む全国エリアに三次のワインを売っていきたいということ。

私もここでは地元意識も働いて、何とか身近に霧の町「三次」の優秀なワインを楽しめるように、

お手伝いがしたいと考えた。

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トモエシリーズでは「マスカットアレキサンドリア」と「レッドパール」というとても珍しい品種のブレンドも出している。これがとても繊細で上質な味に仕上がっている。殆ど市場には出てこない。「TSU・SHI・MI」にはありますよ~。\(~o~)/ 
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その後の佐々木さんからのリクエストで、うちの取引酒販店をはじめ、有力な販売先を3件ほど紹介し、

今後の三次ワインの普及のお手伝いをさせてもらったことは私にとっても喜ばしいことである。

広島から東京へ戻るとすぐに石田氏から明日のNHKの番組で三次のワインと「霧の町 三次」について

放送されるので観てほしいと電話で知らされた。

なんともオンタイムな話である。
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訪問の2日後にNHKに石田さんが出ておりました。 
今後もさらに注目していきたいワイナリーだ。そしてさらに地元出身であるからには

応援をしていこう。

千崎社長をはじめ、佐々木さん、石田さん、広報の柘植さん、その他とても感じのいいスタッフの皆さま、

お忙しい中お邪魔しまして、とてもよくしていただいてありがとうございました。

以上
by seijitsushimi | 2011-11-08 10:20

「わが故郷に名匠あり。」 梶谷譲という農業家・・・。

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梶谷農園代表 梶谷譲氏 

前記のグレイスでの収穫の翌日は早朝から広島へと向かった。

目的は、① いい年こいた親不孝息子が年に一度の両親の顔をみに帰る。

そして、②兼ねてから会いたくてしょうがなかった梶谷農園の梶谷譲に会う。

③ 今最も注目しているワイナリー ”三次ワイナリー”に訪れる。

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着くと1頭の山羊さんが迎えてくれた。 

今回、②である広島県は三原市、久井町にある梶谷農園について書いてみよう。

朝6時の新幹線に乗り、我が故郷 広島駅に着いたのが10時。すぐさまレンタカーを借りて

山陽道に乗り、ひたすら三原へと向かった。

三原と言えば、私がミラヴィルと言う店で独立して以来、ここ三原の糸崎漁港の魚を いや、”しか”使った事

が無いくらい私の料理を支えてきた魚介の出荷元である。

今回は、本当に偶然にも、同じ三原市に、非常におもろい農業家がいるという事で付き合いを初めて、

約半年近くになるが、梶谷農園の梶谷さんに会いに行く事が出来た。
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全国への出荷を待つサラダやハーブたち・・・。  

梶谷農園は、葉野菜(サラダや、ハーブ、マイクロなど)に特化した農園だ。昨今の多品目栽培が主流の

農家の中では非常に特殊で、存在感がある。

原則、自分の料理に使う食材は、「顔の見える食材」と言うコンセプトのもとに必ずや出かけていき、

”その人”を知る努力を続けてきた。

しかし、これまで梶谷譲という男にはまだ会っていない事にずっと不安と、わだかまりを持っていた。

それが今回叶ったわけだ。

カーナビでもあいまいなほど、山に入って、ある民家の一角に梶谷農園はあった。

と言っても看板も案内も何もない。
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梶谷とだけ書かれた住宅の表札。 まあ、ここだろうとずけずけと敷地に入るとハウスが3っつ?ほど。

中には綺麗な食用花らしき植物が並んでいる。やはりここだな。
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伺ったのが丁度お昼時で、昼食中らしき人影が見えたので挨拶をすると、

車いすに乗った主人らしき男性が、対応してくれた。

私はこの人がだれかを知っていた。初代梶谷農園代表である。交通事故で体を不自由にされて、

一時は生死をさまよわれ志半ばで息子に家業である農業を委ねたこの家の主である。

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初代梶谷農園社長。広島での有機栽培の第一人者で広島人は一度は彼の野菜を口にしているらしい。 

この家には3人の息子がおり、今は三男である譲氏がこの地で現梶谷農園の代表を任されている。

電話での会話しかしたことのなかった私は、勿論、どの様な人間であろうかと妄想をふくらましていたが、

イメージとしては、やはりそこは広島人、ちょいとやんちゃな2代目社長という感じ。
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割と愛想は無く、ビジネスと言うよりはやはり職人。変わりもの。がんこ わがまま。変態 その他・・・。
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語る 語る  熱く・・・。 

本家の隣に社長の家があった。尋ねると、丁度食事中だった譲氏が玄関に出てきた。

声や、話し方から「若社長」という印象はあったが、やはり想像していた印象は大きく裏切らなかった。

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清潔感のある坊主頭で、目つきはある。(意味わかるかなぁ?)

非常に、いい農業家の顔をしている。

彼はこれまで特異な人生を送ってきた。 中学卒業後、15歳でカナダへ渡り、現地の高校を出た後、

農業の勉強をしている。

そして約15年の歳月をカナダで過ごす。
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元々父親の勧めもあって、海外での農業の勉強を始めたらしいが、なかなか未成年のうちから、親元を離れ

単身海外へ出て、ましてや農業を学ぶ若者は少ないと思う。

その大きな経験が彼の今の農業への考え方も、人格をも創り上げているのだろう。

農業に対して、非常に”無垢”であり”ピュア”である。

そしてもう一つ。”熱い”。  まさに私の好きな  ”本物”である。

初めて会うにもかかわらず、意気投合するのに時間はかからなかった。

数カ所に点在する畑に案内してもらいながら、色々な話を聞いた。
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譲氏のおばあちゃんは90歳近くなっても毎日農作業をしている。とても健康で元気だ。 
彼の凄い所はもう一つ。ここ三次の山の中で、生れ生活しながら、世界の名だたるレストランに食事に行く。

フランスへは毎年いく。 高級レストランへ行き、料理を知り、野菜を学ぶ。

 根っからの食べること好きもあって、

世界中どこへでも行く。そして、シェフと語り、見聞を広げていく。 アクティブな男なのだ。

日本のシェフたちとも交流がある。これらの経験や知識も彼の仕事に対するモチベーションを向上させ、

更には梶谷農園の野菜作りにフィードバックさせている。

主に葉野菜やハーブを数十種類ハウスにて大事に育てている。
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それらも、十分眼をひく彼の作品ではあるが、更に今回私は、譲氏に彼の知識に信頼を置いて

近隣の野原に自生する野草を送ってもらうように特別にお願いした。

彼との会話の中で、「野草」という響き、元々古来の人たちは、自然に生育している

植物を食べて生活していたはずである。
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ハコベ、ノコギリソウ、ホトケノザ、オゼイユ、セリ、ツユクサ、アカザ、などなど、

日本の国土には様々な食用の野草が自生している。

これらを我が料理に生かさない手は無い。

「土の料理」である「TSU・SHI・MI」の料理は梶谷氏の野菜で更にこれから進化を遂げていくのである。

帰り際に譲氏の上の兄,耕治さんの運営するバイクショップに案内してもらった。
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兄の耕治さん。日本でも有数なハーレーのカスタムビルダーだ。 
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これも職人技。 遠く東京からもオーダーがあるらしい 
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アメリカンだね。 
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こいつも・・・。 

なんと彼は全国でも有名なハーレーのカスタムを手掛ける職人である。

まさに私はラッキーなことに梶谷兄弟に仕事とプライベートで楽しませてもらったことになる。

わが故郷に名匠あり。それも兄弟で。

又の帰広にも是非彼らを訪ねてみよう。

その時を今から楽しみにしている。

以上。
by seijitsushimi | 2011-11-05 08:32