なんか字体が味があっていいなぁ。 昨日、またまたワイナリーへと出かけてきた。 山梨県甲州市勝沼町にある創業140年の老舗のワイナリー「シャトー勝沼」。 正確に言うと、その中でもトップカテゴリーブランドである「鳥居平 今村」さんである。 風船式の搾汁機で、絶え間なく甲州ブドウが絞られています。 長女の英香さんと栽培責任者の志村さんに畑を案内してもらいました。収穫直後のブラッククイーンの畑。 こちらは甲州種 まあ、会社も社長も従業員も同じなのだが、シャトー勝沼は、これまで、 一般消費者に支持されてきた街のスーパーに置いてあるような比較的安価な飲みやすい 「赤わいん」タイプを販売してきた「シャトー勝沼」と、2007年に立ち上げた、 さらに高いクオリティーで限定生産、こだわりぬいたワインを世に出す「鳥居平 今村」とを 分離し、売りわけをしている。 今回は、後者である「鳥居平 今村」のワインの試飲と、畑、工場、 そしてここのワイナリーの大きな特徴である。 ヴィンテージが多く保存されている地価のカーヴを拝見させていただくために足を運んだ。 以前に今回の訪問にあたって、鳥居平の地形の特徴や、当ワイナリーの歴史などを、 販売を一手に引き受けているワインインポーター(ヴァンパッション)による セミナーが開かれた。 「ずいぶん大げさな」という印象をもったことは事実だが、来てみてなるほど、 事前の予習があるほうがはるかに理解しやい。 たわわに実る甲州種。 来週末には収穫が始まります。 栽培責任者の志村さん。 以前は醸造責任者だったらしく、腰を痛めて今は畑を見ているらしい。 今は時期的に収穫まっ最中で、ワイナリー内を案内していただいている間にも、 勝沼町内の契約栽培農家から集めてきた葡萄が、ひっきりなしに2tトラックで 運び込まれている光景を目にする。 今はまさにピークで約20tくらいの葡萄が毎日運ばれて、仕込まれているらしい。 朝からすでに、選別 破砕 除硬 搾汁が仕切りなしに行われていた。 今回、案内をしていただいたのは、畑を管理する栽培課長の志村さんと、 現会長(3代目)の長女の英香(ひでか)さん。 英香さんは ”キュヴェ ヒデカ”という名のワインにもなっている会長の愛娘である。 白はやはり山梨を代表する白ブドウ”甲州”、赤は、単一での醸造は現在でも珍しい ”ブラック クィーン” が主流で、そのほか、マスカットべりーA や、新たにメルローなどにもチャレンジしている。 このワイナリーにこの社長あり! 今村英勇3代目です。自筆の絵画集と写真集をいただきました。畑に出ると更に怖い顔になるらしい。 今回の訪問は、畑や工場、試飲などはもちろんだが、なんといっても 現会長の今村英勇氏自身がどのような人物かにも、 非常に興味を持っていた。 流石、歴史も規模も、甲州でNO,1を誇るワイナリーであって、会社というよりも、企業に近い。 社長室もこれまで訪れたワイナリーの中では非常に立派なもので、そこに案内された時には 多少の緊張感もあり、自分もスーツを持参すればよかったかな? と思わせるほどである(笑) 紺のスーツにネクタイ。76歳のご高齢にも関わらずとても元気でしっかりとされた 話しぶりである。 どこから見ても、職人、こだわり、がんこ、ストイック マニアック 変態(自分にとってはいい意味)という印象でしかない。想像通りの興味深い人物像を お持ちである。 もともと先々代から葡萄を栽培していた農家の出らしく、ワインというよりも、 畑や葡萄栽培方法、葡萄の樹自体の話から始まる。 勝沼のシンボル的存在で、「鳥居平」のワイン名でおなじみの鳥居平。毎年10月1日には火が入れられるらしい。 「垣根栽培は下の下(げのげ)だよ!日本では棚栽培がいい」 今村会長が放った言葉。 自分はワイナリーでも栽培家でもないので、コメントは出来ないが、今、 垣根の栽培は全国あちこちで 実践されており、優位性なども多くのワイナリーが語っているし、自分も幾度も耳にしている。 しかしながら今村会長の「垣根栽培は下の下(げのげ)だよ!」という言葉に、 反対も反論もする気には到底ならない。 それは、長い今村会長の日本での葡萄の栽培をしてきた時間と経験から出た答えであって、 逆に彼以上に長い間、葉竹と葡萄に「真」に取り組んできた経験の持ち主は、 おそらく日本には存在しないだろう。 今年、2011年は良い年と言われた2009年より更に出来がいいとか。病気も少なく健康そのものだね。 施設内のフレンチレストランにてテイスティングの様子。真剣です。 あとは、それぞれが、それぞれの信念を持って、独自の栽培方法を模索していくのである。 「棚栽培」にこだわる彼らの姿勢は、逆に言うと日本の伝統を守りつつ、 海外の製法に影響されることのない 日本という特性を見据えた、非常にオリジナリティーのある栽培に取り組んでいる ということである。 「海外のマネ文化国民」が大半を占めるわが国において、この精神は、 自分としては大いに賞賛に値する。 サプライズでいただきました。甲州1977年産。 驚きの熟成です。 オードブルです。 フォンドヴォーを使った牛肉の料理にも甲州の古酒はマリア―ジュしていました。 デザートにもマリア―ジュしていました。 テイスティングと食事のあとは地下のカーヴに案内してもらいました。 敷地内には非常に大きなレストランがあり、そこに案内され、試飲をさせていただいた。 感想や、説明、詳細はここでは割愛するが、どれも、”甲州”にこだわり、 「鳥居平 今村」ブランドにこだわった 素晴らしいワインたちであった。 このワイナリーのさらに素晴らしいところは、最長で約100年も前からの ヴィンテージワインを保存しているということだ。 約100年前の甲州ワイン。一升瓶で保存してありました。ちゃんと生きていますね。いくらになるだろう。 昔のコルクは粗悪だったとか・・。劣化しているものもかなりありました。もったいないですね。 リコルクをしなくてはいけません。 それには、やはり、先代からの努力もあって、当時のワインに対する意識など、 時代背景や今村家の恵まれた経済力などの理由があって成し得たのだろうが、 それにしても、カーヴに眠っている数多くのヴィンテージワインの量と規模は、 まさに日本一であろう。 1977年の”甲州”ワインを試飲させてもらったが、「早飲みタイプで、 熟成には向いていない」などという日本ワイン の「概念」を根底から消し去ってしまった。 高級なシェリー酒のような、年代物の紹興酒のような非常に高貴な香りと味わいで、 さらに合わせて頂いたフレンチのコース料理のいずれの皿にも合わせられる。 野菜はもちろん、魚介、フォンドヴォーを使った肉料理など、 さらにはデザートまでもイケてしまう。 「甲州」という葡萄の力と、「長い年月」、そして今村家の「熱い情熱」が成せる技の結果である。 2か所にある(ワイナリーと御自宅の地下)地下のカーヴには非常に整理、 管理がされており、数十年もの長い間 眠っているヴィンテージ ワインのボトルに降り積もった芸術ともいえる埃(ほこり)や蜘蛛の巣には、 昨日今日では出来えない、「時間」という人間がコントロールできない壁を乗り越えた 気品と風格と、まさに「時間の重み」を感じる。 今村会長と英香さんのご自宅の裏には彼方まで広がるぶどう畑と小川のせせらぎ、勝沼の町が一望できます。直下に見える建物は 東電OBで運営する「東夢ワイナリー」さんです。 多くの著名な芸能人やワイン愛好家たちの貯蔵ワインも所狭しと並べられている中、 坂本九と書かれた札に目がとまり、「坂本さんが日航の事故で亡くなられた年に、 本人が購入されたワインなんですよ。」との英香さんからの説明があった。 残されたご家族が最近訪れられた時の話などを聞くと、ワインとはやはりただの「お酒」ではなく 人に寄っては人生の大きなストーリそのものであり、ヒストリーのひとコマになりうるもの なのである。 非常にいい話をうかがう事が出来た。 最後に、来週からいよいよ収穫が本格的に始まる「甲州」葡萄をおみやげに頂き、 約6時間にもわたってお邪魔したシャトー勝沼を後にした。 今村会長をはじめ、英香さん、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました。 1977年の甲州は謹んで「TSU・SHI・MI」のワインリストに載せさせていただきます。(笑)
by seijitsushimi
| 2011-10-12 14:14
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