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「わが故郷に名匠あり。」 梶谷譲という農業家・・・。

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梶谷農園代表 梶谷譲氏 

前記のグレイスでの収穫の翌日は早朝から広島へと向かった。

目的は、① いい年こいた親不孝息子が年に一度の両親の顔をみに帰る。

そして、②兼ねてから会いたくてしょうがなかった梶谷農園の梶谷譲に会う。

③ 今最も注目しているワイナリー ”三次ワイナリー”に訪れる。

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着くと1頭の山羊さんが迎えてくれた。 

今回、②である広島県は三原市、久井町にある梶谷農園について書いてみよう。

朝6時の新幹線に乗り、我が故郷 広島駅に着いたのが10時。すぐさまレンタカーを借りて

山陽道に乗り、ひたすら三原へと向かった。

三原と言えば、私がミラヴィルと言う店で独立して以来、ここ三原の糸崎漁港の魚を いや、”しか”使った事

が無いくらい私の料理を支えてきた魚介の出荷元である。

今回は、本当に偶然にも、同じ三原市に、非常におもろい農業家がいるという事で付き合いを初めて、

約半年近くになるが、梶谷農園の梶谷さんに会いに行く事が出来た。
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全国への出荷を待つサラダやハーブたち・・・。  

梶谷農園は、葉野菜(サラダや、ハーブ、マイクロなど)に特化した農園だ。昨今の多品目栽培が主流の

農家の中では非常に特殊で、存在感がある。

原則、自分の料理に使う食材は、「顔の見える食材」と言うコンセプトのもとに必ずや出かけていき、

”その人”を知る努力を続けてきた。

しかし、これまで梶谷譲という男にはまだ会っていない事にずっと不安と、わだかまりを持っていた。

それが今回叶ったわけだ。

カーナビでもあいまいなほど、山に入って、ある民家の一角に梶谷農園はあった。

と言っても看板も案内も何もない。
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梶谷とだけ書かれた住宅の表札。 まあ、ここだろうとずけずけと敷地に入るとハウスが3っつ?ほど。

中には綺麗な食用花らしき植物が並んでいる。やはりここだな。
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伺ったのが丁度お昼時で、昼食中らしき人影が見えたので挨拶をすると、

車いすに乗った主人らしき男性が、対応してくれた。

私はこの人がだれかを知っていた。初代梶谷農園代表である。交通事故で体を不自由にされて、

一時は生死をさまよわれ志半ばで息子に家業である農業を委ねたこの家の主である。

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初代梶谷農園社長。広島での有機栽培の第一人者で広島人は一度は彼の野菜を口にしているらしい。 

この家には3人の息子がおり、今は三男である譲氏がこの地で現梶谷農園の代表を任されている。

電話での会話しかしたことのなかった私は、勿論、どの様な人間であろうかと妄想をふくらましていたが、

イメージとしては、やはりそこは広島人、ちょいとやんちゃな2代目社長という感じ。
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割と愛想は無く、ビジネスと言うよりはやはり職人。変わりもの。がんこ わがまま。変態 その他・・・。
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語る 語る  熱く・・・。 

本家の隣に社長の家があった。尋ねると、丁度食事中だった譲氏が玄関に出てきた。

声や、話し方から「若社長」という印象はあったが、やはり想像していた印象は大きく裏切らなかった。

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清潔感のある坊主頭で、目つきはある。(意味わかるかなぁ?)

非常に、いい農業家の顔をしている。

彼はこれまで特異な人生を送ってきた。 中学卒業後、15歳でカナダへ渡り、現地の高校を出た後、

農業の勉強をしている。

そして約15年の歳月をカナダで過ごす。
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元々父親の勧めもあって、海外での農業の勉強を始めたらしいが、なかなか未成年のうちから、親元を離れ

単身海外へ出て、ましてや農業を学ぶ若者は少ないと思う。

その大きな経験が彼の今の農業への考え方も、人格をも創り上げているのだろう。

農業に対して、非常に”無垢”であり”ピュア”である。

そしてもう一つ。”熱い”。  まさに私の好きな  ”本物”である。

初めて会うにもかかわらず、意気投合するのに時間はかからなかった。

数カ所に点在する畑に案内してもらいながら、色々な話を聞いた。
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譲氏のおばあちゃんは90歳近くなっても毎日農作業をしている。とても健康で元気だ。 
彼の凄い所はもう一つ。ここ三次の山の中で、生れ生活しながら、世界の名だたるレストランに食事に行く。

フランスへは毎年いく。 高級レストランへ行き、料理を知り、野菜を学ぶ。

 根っからの食べること好きもあって、

世界中どこへでも行く。そして、シェフと語り、見聞を広げていく。 アクティブな男なのだ。

日本のシェフたちとも交流がある。これらの経験や知識も彼の仕事に対するモチベーションを向上させ、

更には梶谷農園の野菜作りにフィードバックさせている。

主に葉野菜やハーブを数十種類ハウスにて大事に育てている。
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それらも、十分眼をひく彼の作品ではあるが、更に今回私は、譲氏に彼の知識に信頼を置いて

近隣の野原に自生する野草を送ってもらうように特別にお願いした。

彼との会話の中で、「野草」という響き、元々古来の人たちは、自然に生育している

植物を食べて生活していたはずである。
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ハコベ、ノコギリソウ、ホトケノザ、オゼイユ、セリ、ツユクサ、アカザ、などなど、

日本の国土には様々な食用の野草が自生している。

これらを我が料理に生かさない手は無い。

「土の料理」である「TSU・SHI・MI」の料理は梶谷氏の野菜で更にこれから進化を遂げていくのである。

帰り際に譲氏の上の兄,耕治さんの運営するバイクショップに案内してもらった。
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兄の耕治さん。日本でも有数なハーレーのカスタムビルダーだ。 
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これも職人技。 遠く東京からもオーダーがあるらしい 
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アメリカンだね。 
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こいつも・・・。 

なんと彼は全国でも有名なハーレーのカスタムを手掛ける職人である。

まさに私はラッキーなことに梶谷兄弟に仕事とプライベートで楽しませてもらったことになる。

わが故郷に名匠あり。それも兄弟で。

又の帰広にも是非彼らを訪ねてみよう。

その時を今から楽しみにしている。

以上。
by seijitsushimi | 2011-11-05 08:32
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