2011年 08月 04日 ( 1 )

なにわのワイナリー。Vol.1

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カタシモさんのフラッグシップともいえる「合名山」(ごうめいやま)シリーズ。カベルネソーヴィニヨン。次はいつ出るかなぁ。 和紙のラベルの淵がワインでしみているあたりがそそりますねぇ。 

ん~。いま思うとあれは確か東北の震災前、まだ日本が、国民が平和なときである。
2月だったように記憶するが・・。

いつもお世話になっている酒販店さんは京都から大阪入りすると現地駅で
待ち合わせ、これから一緒に大阪の主要ワイナリー2件を訪れる予定。
この数週間後、震災で世の中すべてが自粛ムードに染まり、このブログもしばらくは更新しなかったのを思い出す。
ここへきて、少しずつ記憶をたどりながら、掘り起こしてみよう。
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大阪へ来て電車乗るなんてすごい久しぶり。いざカタシモさんへ。ユニバーサルスタジオ行きの電車です。 

広島で生まれ育った私は、都会といえばまずは大阪。免許をとり、車を乗るようになれば、
よく友達と大阪は、なんば花月へ吉本の喜劇&漫才を見に行っていたことを思い出す。

関東より西を関西というのなら、広島も関西なので、気性や性格、何を考えているかくらいはなんとなく分かりあえる気がする。
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山本氏と2ショット。笑顔が芸人でしょっ。しかし足短くない?2人とも。カメラのせいだよね。きっと。


大阪の南のはずれに柏原というところがあり、かの関西メジャーワイナリー「カタシモワイナリー」がある。
西日本で一番最初に出来たワイナリーであることはご存知の方もいるだろう。
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ここもカタシモワイナリーさんの畑。斜面が急すぎて向こうが見えないでしょ。 


もちろん訪問は初めてで、名前を聞いたことのあるくらいの知識しかない。
同行した酒販店さんも訪問は初めてだし、今回の訪問を機会に取引を始めたいようだ。
商談も兼ねている旅だった。驚くことにその時点で主たる代理店というか取次店が
関東にはなかったということ。
それなら是非、自分も微力ながら、関西の底力ワインを関東のお客さんに
紹介したいなと考えた。

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ここはゲストルームの中。実際に使用していたワイン製造用の道具がそのまま保存、展示されている。歴史そのもの。 


ワイナリーに着いて、笑顔で快く迎えてくれたのが社員の山本氏。広報兼、社長に絶大な信頼を得ている
要(かなめ)の存在である。あいにく社長は入れ違いに出張で東北へ出かけられ、
どうしてもお会いすることが出来なかったようで、
「よろしく」という言葉を頂いた。

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うぅっ! よだれが・・・。 最上級グラッパが・・・。(欲) 

それから山本氏は、自身の話も交えながら、関西人独特のユーモアと活舌で畑まで我々を飽きさせることなく
案内してくれた。
何でも山本氏は、元、本物の吉本芸人で、コンビを組んで舞台で漫才を演じていた、いわゆる芸人上がりの
ワイナリースタッフである。

そうなれば、もう仲良くなるまでには時間はかからなかった。

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ここは中腹あたり。 すぐ向こうには街が見える。ぶどう畑が生活の一部に溶け込んでるんだね。 


畑はとにかく急斜面で、そこには、まるで動脈のごとくトロッコがめぐっており、収穫時期の葡萄運搬
になくてはならない道具になっているから想像がつくと思う。
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ほぼ大阪市内が一望できる。まだ上があるからすごいね。 


とりあえず畑、というか山のてっぺんあたりまで上り、舌を見下ろすと、さすが都会のワイナリーという感じで
巨大な街が一望できる。このような風景は、まさにワイナリーとしてはカタシモさんだけだろう。


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葡萄の棚をこの角度から見下ろすしたことなんてないんじゃないか?転げ落ちそう・・。 

ワイン的には、この標高と斜面が、葡萄に最大限に日射を与え、寒暖の差を生み、完熟となり甘みを増す。
結果として、優れた味わいのワインが出来る事は間違いない。

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もっとも長寿な、堅下甲州だったと思う。96歳らしい。関西では最も古いそうだ。
パイプで支えているのが痛々しい。が、ちゃんと生きているのが素晴らしい。わきにはトロッコのレールが。これもすごい。
 


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今だ実をつけるのが驚きだ。 恐る恐る下を覗き込むくらい急な斜面。 


天気も良く、気持ちのいい、ほぼ山登りの様な畑を降り、蔵まで戻ると、非常にノスタルジックで
ヒストリック、哀愁の感じるゲストルームへ案内され、試飲が始まった。
作業着姿に、ジャンパーだった山本氏が、今度は一変してアダルトなスーツにネクタイ。
おそらく髪型も整えてあったように思える。
まるで高級ホテルのシェフソムリエ張りのいでたちに、変身していた。
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カタシモさんは関西でも甲州種を作っている。上品畑、宮ノ上畑と畑名もある。
それよりも、589本とある数字が、関東に来ない理由を物語る。美味かったなぁ。
 


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このあたりも入手困難です。 山本さんはご機嫌そう。


これは、おそらく客人をもてなすという気持ちからの行動だろう。
そこにさらなる、大阪のなにわの商人(あきんど)気質がうかがえて非常に愉しい。

ワイナリーへきて、ここまでの誠意、もてなしをされたのも初めてかもしれない。
しかし服装は変わっても、いい笑顔と、おもろい話は、相変わらず山本さんである。
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これは本当にお勧め。「TSU・SHI・MI」でも食後にお出しするとみなさん感激されますよ。 

泡、白、赤、その他、限定のもの、それも数百本レベルのリリースのものを試飲させてもらった。
残念ながら、ここ関西でも基本的に国産ワイン人気は非常に高く、こと、地元においては
かなりの支持を得ているワイナリーなのである。
ここカタシモさんの限定ワインは、どうやらなかなか関東まで及ぶことがないようだ。
帰京後トライしてみたが、すべて完売御礼らしい。
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デラウエアで蒸留したグラッパ。もう何も言うことはありません。あっぱれ!。 


しかしながら本当に関西のワイナリーもワイン作りとしてのレベルが驚くほど
高いと感じる。それも言葉を失うほど美味しいワインがある。

社長自らが手がけた自家製の蒸留機で生まれるグラッパや、梅を赤ワインで漬けて作った赤ワイン梅酒など、アイデアと発想力も、そして結果も、とてもレベルの高いものとして仕上がっている。
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さっそうと登場 後継人であり高井社長の長女 まきこさん登場!! この方の話にも非常に引き込まれる。 

後半になり、現在は社長の後継者として自ら子育てをやりながら、会社を切り盛りしている
長女のまきこさんが登場。これまた、話を聞いているだけで楽しい人で、どうやら最近まで東京で
それも丸の内でOLをしていたという、なんとも親近感の持てる社長令嬢である。
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山本氏とお二人で一度東京でワイン会をとラブコールを送っているが、まだいい返事はいただけていない。絶対に面白い会になることは間違いないのだが・・・。いつかお願いいたします。 


それがゆえに奇抜なアイデアや発想が今後のカタシモワイナリーのワインにどれほどの影響を与えていくのかが、未知数で、非常に楽しみなのである。
枝の剪定は栽培過程で、やることだが、彼女は、あるポリシーに基づき、
根を剪定することによる結果を検証しているそうだ。根拠は定かではないが、これまでの
ルールや、常識、伝統に縛られることなく、新たな試みをすぐに実践し、より優れたものを作り出そうとするそのスピリッツは、流石、ナニワの商人に通ずる大阪女性のDNAというものを非常に感じ取った瞬間だった。

東京に戻ってもしばらく山本氏と、マキコさんの記憶が頭から離れず、同じ日本の中でもこれだけ違う個性とキャラが
存在するんだということ、関東近郊の、いや、基本、関西独自に非常に特殊な人格と特徴をもっており、人を元気にさせるパワーみたいなものを潜在的か?、土地柄か?もっている。
南米や、スペインの人々が北欧の人たちより熱く感じるのと同じようにね・・・。

震災後にすぐに山本氏から、心配していただきメールを頂いた。
本当に人情味あふれる人たちである。

だから彼らの作るワインの味もまったくもって「人情味」のある、「人間味」のある
日本人が口にしてうなずくいいワインが生まれるのだろう。
今回は残念ながら高井社長には会えなかったが、カタシモワイナリーは、
また次回、必ずお邪魔したいワイナリーになった。

さて、次は、遅くならないうちに「がんこおやじ」に会いに行こう!
by seijitsushimi | 2011-08-04 22:30